春の潜入捜査週間
○潜入二日目○

「転校生の天野銀次君と、美堂蛮君だ」
「よろしく!」
「……よろしく」
 とりあえず、作戦通り転校生として学校内に潜り込むことに成功した蛮と銀次だったが、計画は最初から暗礁に乗り上げた。
 黒髪に染めた銀次(この時点で、蛮ももうすっかり黒髪の銀次に慣れたので顔を見ても笑わなくなっていた)と、髪を下ろし、カラーコンタクトをした蛮。この時期はずれの転校生を一目見ようと、休み時間になるとあっという間に教室に人だかりができ、とてもじゃないが捜査どころではないのだ。
「どこから来たの?」
 など等、質問攻めにあうのだ。その度に銀次たちは、「はぁ」とか「ええ、まあ…」とかいって適当にかわすしかない。
(あ〜っ、もう! 学校なんていったことないからわかんないよ。蛮ちゃんにはボロが出るからあんまり喋るなって言われてるし…)
 それに銀次の苦難はそれだけではなかった。
「美堂君って何か部活やってた?」
「ねえ天野君、うちの部に入らない?」
 などと話しかけながら蛮や銀次の肩に気安く手をかけてくる生徒が多数いるのだ。
(ちっ! うっとおしいな、まったく)
 むかつくがここで揉め事を起こしてしまっては後が困ると、じっと我慢する蛮。
 一方の銀次もにこやかに対応しながらも心の中では、
(あーっ、もう! オレの蛮ちゃんに気安く触るな!!)
 と、かなりご立腹だったりしていた。


→ It continues.