第六話
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「こんなもんかな?」
「そうだね」
二代目『怪盗F・A』ことエドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックは、自宅で今度の『盗み』の準備におわれていた。
リビングの床に乱雑に並べられた小物を、二人して手際よく腰につけたポーチに詰めていく。
「他にいる物とかあったっけ?」
自分の分の荷物を詰め終わったエドワードが、アルフォンスの方を振り返ると、
「……はぁ」
アルフォンスは荷物を詰める手をとめて、テーブルを見てはため息をついていた。
テーブルの上には白いハンカチが一枚、きれいに折りたたまれて置かれている。
洗濯しても取れなかった血痕が、所々についている。
「………………」
「アル……」
それを見る度に物思いにふける弟の姿に、エドワードは心配げに顔を曇らせた。
夕日が差し込む室内でロイは一人、窓から外を眺めていた。
今夜からの美術館の警備の準備は着々と進んでいるらしく、軍の内部はばたばたと慌しかったが、ロイのいるこの部屋だけは静かだった。
窓の外に見えるのは、夕日をあびて赤く染まった、大きな時計塔。
初めて二代目『怪盗F・A』が現れたあの時計塔だ。
まだ数回しか顔をあわせていない、蜂蜜色の髪を三つ編みにした少年の顔を思い出して、ロイの口元に自然と笑みが浮かぶ。
「久しぶりに君に会えるのが楽しみだ」
それぞれの思惑の中、時間は静かに過ぎて行く――
→ It continues.