-6-
「今頃、あいつらどうしてるかなぁ」
二階の客室の窓ら外を眺めつつ、ウィンリィはぼんやりとつぶやいた。
窓から見上げる夜空は雲ひとつなく、たくさんの星の輝きを見ることができだが、今夜は新月なのか、月の姿は見当たらなかった。
いくら目を凝らしたところで見通すことなどできない暗い夜の森を飽きることなく眺めていると、
――コンコン。
控えめなノックの音が聞こえた。
「!?」
(ひょっとしてイズミさん? それともエドたちが帰ってきたのかな?)
そんな事を考えながら玄関へと向かう。
「どちらさまでしょう?」
扉の前でそう声をかけるが――返事はない。
「?」
ウィンリィが不審に思っているとまた、
――コンコン。
再び聞こえる。小さなノックの音。
「………………」
訝しげに眉をひそめながら、ウィンリィは玄関先が見渡せる位置にある出窓の前まで移動した。そこから玄関先を覗くと扉の前には――暗くてよくわからないが――フードを目深にかぶった黒いローブ姿の人影が一つ。細い腕を伸ばして扉をノックしていた。
しかし――
「!?」
何の前触れもなくぱたりとその場に倒れこんだその人影――老人だろうか?――に驚いてウィンリィは玄関の扉へとかけ戻る。
(具合が悪くて助けを求めていたのかもしれない。声も出せないほど体調が悪かったのかも――)
そう思って急いで扉の鍵を開けると、ウィンリィは玄関先へと飛び出した。
「どうしたんですか? 大丈夫ですか!?」
床の上に、うずくまるようにして倒れこんでいるその黒ローブ姿の人影に向かって声をかけながら駆け寄る。
ローブの袖口から突き出た枯れ木のように細い腕。
その細い腕に、そのローブに包まれた身体に、触れる直前。ウィンリィはぎくりと硬直した。
「きゃぁぁぁ――――」
夜の空気を震わせるような悲鳴は、森の木々に吸い込まれるようにして――消えた。
→ It continues.