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リビングに通されたロイは、出された紅茶を飲みつつ、三人から話を聞いていた。
「……なるほど。それでは、ここは君たち兄弟の家で、彼女は森の外にある村に住んでいるのか」
「そうです。それで、騎士様はどうしてお一人でこんな田舎の村はずれの森の中へ?」
「それは……とある任務でね」
「…………」
歯切れ悪くそう言うロイの答えに、エドワードが怪訝そうな顔つきになる。
「……それはそうと、君たちはずっとこの村に住んでいるのかい?」
気まずくなった雰囲気を誤魔化すようにして、ロイがたずねてきた。
「えっ? あたしはそうですけど?」
「ボクらは違います」
「4年前にこの村に来たけど……それがどうしたんだ?」
「何か、『言い伝え』のようなものを大人から聞いたりしたことはないかい?」
「言い伝えですか?」
「うわさみたいな?」
「迷信とか?」
「ああ、そんな感じの話なんだが、どうだろう何か覚えはあるかい?」
「う〜ん……」
三人で腕を組んで考え込む。
「うわさ、うわさ……満月の夜には妖精と会えるとか?」
ポツリとつぶやいたウィンリィの言葉に、
「そういうのでよければ、墓地で3年前に死んだ元村長が出たとか?」
「それって幽霊だろ?」
「あとは……森の奥には近づくな、とか」
「あ、それはオレも知ってる。『森の奥には魔物が住む。災いを恐れるならば近づくな』……だったっけ?」
「ああ、それだ。それをもっと詳しく教えてくれないか?」
身を乗りだすロイに、エドワードは困ったように人差し指でぽりぽりと頬をかいた。
「詳しくったって……さっき言ったセリフぐらいしか知らないしなぁ。アルとウィンリィは?」
問われてアルフォンスとウィンリィもふるふると首を横にふった。
「そうか……」
少し気落ちした様子でソファに座り直したロイに、今度はアルフォンスがたずねた。
「ひょっとして騎士様はその『言い伝え』の魔物を退治しに来たんですか?」
「ロイでいいよ。そうだな……君たちのここに住んでいるから森の中には詳しそうだね。この森に魔女が住んでいるという話しは知っているかい?」
途端に、エドワード、アルフォンス、ウィンリィの三人は顔をこわばらせた。
「…………知ってたら?」
警戒の色をありありと浮かべて、エドワードが口を開く。
「助力を乞おうと思ってね」
「助力?」
「そう。森の奥にいるという魔物を退治する為のね」
「「「………………」」」
その言葉に、それまで警戒していた三人の態度が落ち着きを通り越して、落胆の色を見せた。
「?」
子供たちのあまりの変わりぶりにロイはついていけない。
そんな彼に向かって、心底申し訳なさそうな顔でアルフォンスは告げた。
「申し訳ありませんが、たぶん……というか、本気で無理です。それ」
「えっ!?」
「その『魔女』というのが、ボクらの知っている人物と同一人物であるなら、その人は――」
「今、出かけてる。しばらくは帰ってこないぞ、あの人は」
アルフォンスの後を継いで言ったエドワードの言葉に、ロイは愕然とした。
「ええっ!?」
聞かされた事実に呆然としているロイと、ウィンリィがこちらを見上げて不安そうな声を出した。
「ねえ騎士様。その魔物っていうのは森のどこにいるの?」
「わざわざ助っ人を頼みにきたってことは、魔物の居場所はわかってんだろ?」
「……そうだな。ここまで話してしまったからには、全てを君たちに話そう。そのかわりに、魔女の家の場所を教えてくれないか? 帰ってきていないかどうか一度訪ねてみるよ」
すると、三人は顔を見合わせて、同時に深々とため息をつく。
「?」
きょとんとしているロイに、エドワードはことさらゆっくりとした口調で、噛んで含めるように言った。
「あのなぁ、その魔女。たぶんイズミ師匠のことだと思うけど」
「うん?」
「師匠の家はここ。ちなみにオレたちが知ってるかぎりでこの森の中に住んでいる物好きな人間は、俺たちと師匠だけ!」
「………………」
エドワードにきっぱりはっきり言い切られて、ロイは再び愕然とした。
→ It continues.