森の奥に住む魔物
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長い歳月の間――『それ』は、森の奥深くで眠っていた。
それは、石でできた柩だった。
柩の蓋の中心には透明な石が一つはめ込まれていた。しかし、それ以外にはまったくといっていいほど装飾のない、四角い石製の箱。
それが置かれている場所は、のびた木々の枝葉や草で埋め尽くされていたが、不思議と、その柩の周りだけは草一本生えてはいなかった。
造られた時の姿そのままに――柩はそこに存在している。
その時までは――
虫の声や小動物の動く音。小鳥のさえずりが聞こえるいつもと変わらない森の風景。
しかし――唐突に生き物の声が途切れた。
ゴッ、ゴッと重いものが動く音。
石製の柩の内側から響いてくるその音は、やがて振動となり――柩全体を震わせ始めた。その振動に呼応するようにして、小さな――音がした。
ピシッ……
何かがひび割れていく音。
ピシッ。
その音が徐々に大きくなる。
そして――
パキン!
澄んだ音とともに、柩の蓋にはめ込まれていた透明な石が砕け散った。そして、石がはめ込まれていた穴から広がるようにして亀裂が蓋へ――そして柩全体へと広がっていく。
ゴトリ、と亀裂の入った蓋を内側から押し上げるようにして、柩の中から何かが這い出した。
うごめく『それ』は、柩の隙間から差し込む太陽の光を感じ取ってしわがれた老人のような声で、歓喜した。
「……おお、ついに……」
→ It continues.