不審な贈り物にはご用心
〜3〜

 動きやすい格好に着替えてきたハボックを加えた四人は、執務室のソファに座ってテーブルの上に置かれた問題のガラス瓶入りのチョコレートを、なんともいえない気分でながめていた。
 すると――
 コンコン。
「……どうぞ」
 わずかに迷ってから、ロイが返事をする。
 その返事をうけて書類片手に部屋の中に入ってきたのは、金髪の髪をきりりとアップにしたリザ・ホークアイ中尉だった。
「大佐、昨日の件のことで……?」
 資料を見ながらそこまでしゃべり、手元から顔を上げて――室内の状況にホークアイは一瞬固まった。
「ええっと……大佐?」
 自身なさげに黒い髪の少年にたずねる。
「……そうだ」
 しぶしぶうなづいたロイを見て、それからその正面に座っていた短い金髪の少年へと視線を移し、
「ええっと、それじゃ……ハボック少尉なのかしら?」
「……そっす」
 こくんとうなづいたハボックを見て、それからエドワードとアルフォンスの顔を順に見てから、ホークアイは不思議そうにたずねた。
「一体何があったんですか!?」


 四人から話を聞き終えたホークアイは――当然といえば当然だが――四人の話をまったく信じていなかった。
「まさか、チョコレートを食べたぐらいで子供になるなんて、そんな馬鹿な……」
「だから、ホントなんですって!」
 半泣きでホークアイに必死に訴えるハボックに、エドワードとアルフォンスも一緒になって、
「本当なんですよ中尉」
「そうそう」
「でも、信じられないわ」
 信じられないと言い張るホークアイにむかって、ロイは意地悪げに笑うと冗談めかして、
「中尉もコレを食べみれば嫌でもわかるさ」
「…………わかりました」
 ロイのセリフに、ホークアイはわずかに逡巡した後、つっとガラス瓶に手を伸ばした。
「わわっ!? 中尉それはまずいですよ!」
「マジでやめといたほうがいいって中尉!」
「そっすよ!」
「中尉、何もさっきのセリフを本気にしなくても!」
 大慌てで止めに入る四人の制止を無視して、ホークアイは瓶からチョコレートを一つ取り出すと、口に含んだ。
 しばらたってから――
「ほら、別に何も――」
 そこまで言いかけてホークアイの声が――途切れた。
 みるみる大きくなっていく軍服。
 目に見えて低くなっていく目線の高さ。
 自分の両手を呆然と見下ろして――ホークアイは完全に凍りついた。
「……………………」
 かなりショックを受けているのが傍で見ててもわかるほどに――凍り付いてまったく動かなくなってしまっているホークアイに、誰も声をかけられるような雰囲気ではなくて……
(うわぁ…………)
 心の中で思いっきりうめきながら、四人は同時に頭を抱えた。


→ It continues.