汗腺を鍛えて汗かき上手になろう。
汗には、いい汗と悪い汗があるのを知ってました? バスタイムで汗腺を鍛え、「いい汗」をかく体質をつくりましょう。
◇2週間のトレーニングで、あなたの汗腺が活性化する
暑い日中、取引先に向かう途中小走りしたとき、タラリと頬を伝う汗。少し走っただけで汗が流れるなんて代謝がいい証拠!と、汗を拭う。
ここでちょっと汗を分析。霧吹きで吹いたような細かい汗なら問題ないけれど、ダラダラ流れているようなら要注意。
その汗、顔だけにしか流れない、ベトッとした汗ではありませんか? 実はその汗、NGなんです。
「前者の細かい粒は、肌の上ですぐ乾く汗。ミネラルなど、体の貴重な成分が汗に含まれていないために水に近いサラサラした状態です。
一方、後者はネバネバで乾きにくく、体の貴重な成分も体外に出してしまう悪い汗。たくさん出ていても、体温調節があまり利かない。汗はかく量ばかりでなく、質が大切なのです」と、五味常明先生。
現代人の多くは、顔や腋など、部分的に汗をかく場合が多いともいう。「環境問題が原因です。どこに行っても冷房が強く、人間が体温を調節しなくてもいいようになっています。そうすると、汗腺は退化して働かなくなる。汗腺には本来、濾過機能があり、血液から流れ出た不要物質を排出し、大切なミネラルは再び血液中に再吸収させる働きがあります。それが働かなくなると汗はネバネバになります」
暑いからと冷房を強くして機械に頼った快適空間に甘んじていると汗腺は鈍るばかり。
では、どうすれば汗腺は復活するの?「普段の生活で汗をかくことを日常化させてください。まず室温と外気温の差は5度以下にすること。有酸素運動を適度に取り入れる習慣も大切です。そして、手軽にできて効果的なのがお風呂の中で行う汗腺トレーニング。温熱刺激を与えて退化した汗腺機能を覚醒させ、能動汗腺を増やすことができます。目標は、部分ではなく、全身から汗がかけるようになること。そして、ミネラルなどの成分が放出されていないサラサラの汗を出すことです。ダラダラ汗は失うものが多く、蒸発もしづらい。一方、サラサラ汗は蒸発しやすく、最小限の発汗で体温の上昇が抑制できる。いわば、効率のよい汗というわけです」
五味先生によれば2週間程度で汗腺は確実に目覚めていく。
汗をかきやすくする汗腺トレーニング法
[高温手足浴]
浴槽に43〜44度の熱いお湯を少なめに張り、ひざ下とひじから先を10〜15分ほど浸ける。
浅い浴槽ならイスを使って前屈みの姿勢をとっても。つらいようなら、手足、別々の温浴を各10〜15分ずつ行っても大丈夫。
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[微温浴]
前の熱めの湯に水を足して、36度くらいのぬるめの湯をつくる。
全身浸かり、リラックスして、高温で高まった交感神経を安定させる。このとき、浴槽に発汗を促すバスソルトや酢を加えるといい。
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[汗の乾燥]
風呂から上がったら、汗を拭き取り汗がひくまで休養する。
このとき、すぐに服を着ないで、そのままで汗を乾燥させる。リンゴ酢や黒酢ドリンクで水分補給をすると、クエン酸の効果でより代謝が高まる。
汗腺が目覚めたら、半身浴でサラサラ汗をキープしよう
さて、2週間の汗腺トレーニングで退化した汗腺が復活したら、ここからが本当の勝負。
せっかくネバネバ汗とサヨナラしたのだから、手に入れたサラサラ汗をずっとキープしようではないか。ということで、どうやったらキープできるのか、五味先生に聞いた。
「すでに汗腺は目覚めたので、さらにトレーニングを行う必要はありません。これからは半身浴を日課にしましょう。
半身浴はぬるめのお湯でも大丈夫ですが、40度くらいがベストです。そこにマイナスイオンを出すといわれている炭を布の袋に入れて浴槽に入れたり、粗塩などの天然塩などを入れるといい。炭や塩は体を深部から温めるので発汗を促すことはもちろん、浸透圧が高まり、汗腺の出口がふやけて狭くなったところに働きかけて汗を出やすくするといった利点があります。また、毛穴の汚れが取れるので、新鮮な皮脂も分泌される。それと汗が混じり合っていい汗をつくるのです。
いい汗をかけば、風呂上がりの汗がローションと同じ役目を果たし、肌を保護してくれるんですよ。
また体の深部まで温めるという意味では、入浴剤も効果的です。
半身浴の時間は細かい汗が出るまで。目安は15〜20分位です。途中、熱くてボーッとしてきたらお風呂の中にうちわなどを持ち込んで、額に風を送って脳の温度を下げるようにします。
半身浴がすんだら、全身浴を10分ほど行います。
お風呂から上がったら、トレーニングのときと同じようにお酢を水で薄めたドリンクやショウガのドリンクを飲みながら休息をとるといいでしょう」
さらに―。いい汗はデトックスにつながり、そして、その効果は悪い汗の何倍も、と五味先生はいいきる。
「いい汗をかきなれた汗腺は腎臓のような“排泄機能”を持っています。腎臓がカラダに必要なミネラルを残し不要な老廃物を尿で排泄するように、汗の場合は体内に溜まった水銀や鉛、カドミウムなどの有害金属を排出するんです」
あなたの汗はどうだろうか?目指すは“サラサラ汗”なのだ。
汗腺を鍛えたら、半身浴を習慣に
[半身浴]
浴槽に胸の下程度までにくるように湯を張る。温度は39〜40度程度。心臓や肺への負担が軽いので長く入っていられるため、リラックス効果もある。入浴時間は個人差があるので、下のイラストを参考にして。
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[入浴時間の目安]
手や肩に細かい汗がぎっしりとつくくらいまで。
大きな粒が顔からダラダラ流れるだけではトレーニング不足かも。
汗腺の機能を高めて思いきり汗をかく
「汗をかくということは汗腺を使うということです」
汗博士として知られる五味常明さん。どこにでもエアコンが完備されている生活で、現代人はますます汗腺を使わなくなっています。筋肉と同じで、使わないと機能は低下して、ベタベタした不快な汗が出るようになるのです。
汗をかかないと脳の機能が低下する
そもそもなぜ人間は汗をかくのでしょう?
人間は脳を発達させてきた生き物ですが、さまざまな中枢機能が集中する脳が正常に働くために、体温は37℃ほどに保つ必要があります。それ以上あがると脳の機能は低下してしまうからです。つねに体温を一定に保つために体から水分を蒸発させて調節しているわけですが、その大切な役割を担っているのが汗なのです。
ところが汗腺を使わなくなった現代人は能動汗腺(機能している汗腺)の働きが衰えているので「いい汗」が出にくくなっています。
汗腺の機能がよくないと「悪い汗」に傾いていく――。ベタベタして気持ちが悪いのはこのせいでもあります。
低体温になり、免疫力が低下。疲れやだるさを引き起こす
「汗腺の数は3歳から5歳くらいで決まってきますが、子供のころからエアコンづけになった生活では、汗腺がきちんとできあがりません。汗をかくのはエネルギー代謝によって発生した体の熱を冷却するためですが、汗腺が働かずうまく冷却できないとどうなるか――。体は脳にダメージを与えないように代謝を落として熱をつくらないようになります。
つまり低代謝。そして低体温になります。
低体温になると、免疫力が低下して疲れやすくなり、感染症などにかかりやすくなってしまうばかりか、自律神経やホルモンのバランスも乱れるので、うつ状態やキレるといった症状にもつながると考えられています。汗をかかないということは、とても危険なことなんです」
ストレス汗は、活性酸素も影響。汗は知れば知るほど大切な存在
汗腺が働いていてもストレスがあると活性酸素が発生して皮脂が酸化しやすくなり、汗といっしょになることでにおいを発します。それだけでなく、手足やわきなどに汗をかく精神性発汗にもなりやすくなります。こんなときは、なるべく汗を止めようと意識しないで、ほかのことに意識を向けることが大切。
「汗は出るだけでなく蒸発して初めて"汗をかいた"と言える状態になります。蒸発させるためにはあまりふき過ぎず、少し湿り気を残す程度に押さえた方が、汗が止まりやすくなります」
体を動かすことが夏バテ、熱中症予防にもなる
汗は、どんどんかいて汗腺を働かせるとともに、いい汗は体温をきちんと調節してくれます。逆に悪い汗は体温調節できないだけでなく、大切な体の成分も体外へ排出してしまいます。いい汗をかけるようになると汗の量は少なくなります。
逆に夏バテや熱中症は、体液の成分が出てしまう悪い汗を無駄にかいていることが原因のひとつです。
本格的な夏になる前からエアコンに頼りきったりせず、自然に暑さに慣らして汗腺をウォーミングアップするとともに、生活のちょっとした工夫で積極的に汗腺を鍛えておきましょう。
6月ごろからわずか2週間で鍛えられます!
いい汗をかくための汗腺トレーニング
一気に出るより、じっくりかいたほうが"いい汗"
運動すると汗が出て、汗腺はよく働くようになります。
そのためにおすすめの運動は、まず歩く(大またで早歩きする)こと。運動した後の汗がサラサラしていて体がスッキリするのは、汗腺が働いている証拠です。
汗のふき方は表面に湿り気が残る程度に
汗を強くふいてしまうと表皮は乾いているので汗は蒸発しません。結果として体温が下がらないことに……。
汗は表面に湿り気が残る程度にやさしく押さえるようにふきます。気化熱が体の熱をうばって涼しくしてくれます。
よい汗は本来、無臭ですが、汗をかいたあと、しばらくすると汗くささを感じることがあります。
汗のにおいは、皮膚表面の皮脂やあか、ほこり、ふけなどが汗と混じることで細菌が増殖し、におい物質が発生すると考えられています。
汗をかいたあとは、早めに拭き取ることも大切。乾いたハンカチよりかたく絞った濡れタオルのほうが防臭効果が高いので、外出時には濡れティッシュや市販のパウダーシートを携帯するのがおすすめです。
いい汗と、悪い汗
- いい汗 蒸発しやすく体温調節できる汗
- 限りなく水に近く、サラリとしている。
- 汗の粒が細かい。
- においがない。
- 味がしない。目に入っても痛くない。
- 汗をかいた後、スッキリ爽快になる。
- 悪い汗 蒸発しにくい汗
- ネバネバしている(老廃物が含まれているため)。
- 汗の粒が大きくダラダラ流れる。
- 汗くさい。
- しょっぱい、すっぱい。
- 汗をかいた後、疲労感がある。
発汗を促進する食材ショウガ、葛粉でいい汗を出す。
ショウガは漢方薬でも発汗解熱剤として使われるように、発汗効果の高い食材です。料理だけでなく紅茶に入れたりして手軽に摂れます。葛粉にも発汗作用があります。唐辛子やカレー粉は発汗作用がありますが、体を冷やすので、冬に冷え性の人が食べ過ぎると体を冷やしてしまいます。
出かける5分前はエアコンをオフして温度に慣らす
冷えた部屋からいきなり外へ出ると一気に汗が出ますが、これは悪い汗。
外出するときは、早めにエアコンを切っておき、なるべく玄関など外気と温度差が少ない場所で5分ほど汗腺を慣らし、それから外に出ます。
外から部屋に入るときも同じようにします。
半身浴で体温を調整する
全身浴では肌がお湯につかっているので汗が出たとしても蒸発しないため体温が下がらず、入浴後はボーッとしてしまいます。汗は蒸発するときに体温が下がるので、入浴は半身浴がおすすめです。
お風呂上がりエアコンで体を冷やすのは逆効果
お風呂上がりに、いきなりエアコンのきいた部屋で体の表面を冷やすと、汗は止まります。皮膚にあるセンサーが汗を止めるように指示するからですが、これでは熱がこもったままになってしまいます。
体温が下がらないと寝つきが悪くなるので、夏の寝苦しさは倍増。
お風呂上がりは自然の風やうちわで汗を蒸発させ、体温を下げるようにします。
体に密着しないファッションで
肌と衣類のあいだに空気の層を作ると汗は蒸発しやすくなります。また衣類は通気性、吸湿性、速乾性がよい素材を選びます。絹や綿、最近人気の機能性素材がおすすめです。
汗と体のニオイの関係は?
汗をかくとニオイが強くなるの!? そもそもニオイはどうやって出るの?体質は関係あるの? 「ワキガ」ってどんな人がなるの? そんなニオイと体のメカニズムの基本から勉強してみましょう。ニオイを味方につけるヒントがきっと見つかるハズ!
◇「3つの腺」がニオイをつかさどっていた
いわゆる体臭は皮膚表面からのニオイですが、皮膚や汗そのものに強いニオイはないのだとか。皮脂腺や汗腺から出される分泌物が皮膚表面の細菌に分解されることで、ニオイの原因となります。
「汗腺には2種類あり、エクリン腺は全身に分布している小さな汗腺で、ここから出る汗の成分は99%が水分。
一方、アポクリン腺はわきやおへそ周りなど身体の一部のみに分布し、毛穴と出口を共有する大きな汗腺で、ワキガなどの原因となるニオイ成分の強い汗が出ます。さらに、皮脂腺から油脂成分が出ることでニオイが強くなります」(五味クリニック院長・五味常明先生)
これらニオイの基本をベースに、さまざまな汗の種類を紹介します。
◇ダイエットにも影響するよい汗・悪い汗とは!?
体温が上がると、血液からミネラルと水分がエクリン腺にとりこまれます。そして体に必要なミネラルは汗腺の導管から体に再吸収され、残りの塩分と水分が汗となって排出されます。
ところが汗腺の機能が鈍ると、ミネラルの再吸収が行われず、汗腺からミネラルが排出されドロドロのにおいやすい汗に。
「冷房にあたりすぎたり制汗剤を過剰に使ったりすると汗をかきにくくなり、ドロドロ汗となる原因に。不快な匂いはもちろん、代謝に必要なミネラルも喪失するので、脂肪の燃焼も鈍ることに。」(五味先生)
◇汗のにおいと病気
汗のにおいで病気がわかることがあります。
糖尿病の人の汗は、甘酸っぱいにおいがすることがあります。
同様のにおいは運動療法をともなわない極端なダイエットをしたときにすることがあり、「ダイエット臭」と呼ばれています。どちらも、代謝系が完全燃焼しないためにケトン体というにおい物質がつくられ、汗の中に出てくるからです。
肝臓や腎臓が悪いと尿素が汗に多く出て、アンモニア臭がします。
卵が腐ったようなにおいは、口腔の病気や胃腸系の病気で生じます。
呼吸器系の病気では肉の腐ったにおいがしたりすることがあります。
病気ではなくても、ストレスがたまると油が酸化したような皮脂のにおいがして、ストレス臭といわれます。
慢性的な疲労でも乳酸が汗に出てくると、皮脂のにおいとアンモニア臭が強くなります。
汗のにおいが急に変化したり、強くなったりした場合には、体の健康が損なわれたサインかもしれませんので注意しましょう。
◇ニオイの「快・不快」は濃度の問題
汗腺機能の低下のほか、大気汚染の進んでいる都会に住むとニオイが強くなるなど、汗のニオイは環境にも左右されます。
「しかしニオイ=悪臭と考えないで。便のニオイを薄めていくと、実はジャスミンの香りになります。つまり、薄ければ“香り”、濃ければ“ニオイ”なのです。薄い香りは人に好まれます。つまり不快かどうかは、汗の濃度の問題なのです」(五味先生)
好感度を上げたいなら、ニオイをやみくもに消そうとするのではなく、濃度の薄いサラサラのよい汗がかけるようにすることがヒントのよう!
- ●特にニオイが気になる場所
- 頭
- 耳
- わきの下
- 乳首のまわり
- へそのまわり
- 生殖器
- アポクリン腺のあるところ
- エクリン腺のあるところ
- ●よい汗とは
- 1.サラサラで蒸発しやすい
- 2.ニオわなくベタつきが少ない
- 3.気温の変化で汗が出やすい
- 4.汗がひくのが早い
- ●悪い汗とは
- 1.ドロドロで蒸発しにくい
- 2.なめるとしょっぱい
- 3.高気温でも汗が出にくい
- 4.ダラダラと流れる
●ワキガの人の特徴は?
アポクリン腺の数には個人差、人種差があり、実際にワキガと呼べるほどのニオイを発する体質の人は、日本人場合、わずか10〜15%。下着のわき部分に黄色いシミができる、耳あかが湿っている人はワキガ体質の場合もあります。
- 自分の“ニオイ度”をチェックしてみよう!
- □汗をなめてみるとかなりしょっぱい
- □汗の粒が大きい
- □日中冷房の中にいて夏でも汗をかかない
- □デオドランドグッズを愛用している
- □肉、魚、乳製品をよく食べる
- □蚊によく刺される
- □ナイロンやきつめの下着をよくつける
- □おフロはシャワーのみ
- □最近ストレスを感じやすい
- □タバコをよく吸う
- (診断)
- 1〜3個の人は
- まずまずの体内環境ですが、ひとつでもあてはまる項目があれば要注意。ドロドロ汗の予防を徹底して。
- 4〜6個の人は
- やや強めのニオイを発している可能性は大です。食べ物や衣服選びなど、生活を見直して。
- 7個以上の人は
- 汗の質が悪くなっている(濃い汗)の恐れが!今すぐ汗腺機能を高める生活を実行して。
部位別ケアでニオイを予防
「ワキ」
露出することも多くニオイが気になるワキは、吸汗とこまめな拭き取りが◎。制汗剤で汗を抑えるのも良いですが、一時的なものにすぎないので、使いすぎには注意。
インナー選びに注意
汗がうまく蒸発されないと雑菌が繁殖し、ニオイを発生させてしまいます。綿素材など、風通しが良く乾燥性に優れた素材の下着を着用しましょう。特にスポーツ時は吸汗速乾性のウエアが必須。
濡れタオルを活用
乾いたタオルは汗だけを吸収し、ニオイ成分を肌に残してしまいがち。皮脂汚れを取り除き、雑菌の繁殖を防ぐためには、硬く絞った濡れタオルを使用するのがおすすめ。リフレッシュ感も続きます。
ミョウバン水溶液を活用
ミョウバンは最も身近なデオドラントアイテム。
市販の粉末ミョウバン(50g)を1.5lの水に溶かして液を作り、ガーゼに浸して汗を拭ったり、スプレー容器に入れて制汗剤代わりに活用しましょう。
※使用の際はパッチテストを行ってください
「足」
汗は1日にコップ約1杯分の汗をかくといわれています。その汗のほとんどは水分と塩分で構成されているため本来はニオイにくい汗ですが、角質やアカなどの汚れに結びついて雑菌が繁殖し、ニオイが発生しているのです。
お酢+足浴で予防
お酢は酸性が強く、制菌作用があるので、ニオイ防止におすすめ。洗面器にお湯を張り、お酢を大さじ2杯ほど入れて足湯をすれば、代謝アップにもつながって、一石二鳥!
靴&靴下に注意
靴はムレやすく、雑菌が繁殖しやすい環境。
1日履いた靴は乾燥剤を入れて風通しの良い場所で2日間休めるのがベスト。生足はムレるので、必ず靴下を履くようにしましょう。
Check! 30代からは更年期多汗にも注意
更年期は女性ホルモンの分泌量低下による汗腺の調節機能の乱れや、イライラなどの精神症状によりベタベタ汗をかく傾向があります。生活習慣の改善とともに、腹式呼吸をするなどリラックスするように心がけましょう。
制汗剤の使いすぎに注意
においが気になるときは、手っとり早く市販の制汗剤に頼りたいのもわかります。でも、使いすぎは逆効果。
わきなどの細菌は、においの元になる一方で、外部からの悪い菌を防ぐバリアの役割も果たしています。すべて殺してしまうと、さらに強い菌が繁殖し、もっとくさくなってしまうのです。
制汗剤は自分の体臭の程度に応じて使い分けるようにしましょう。
試しに綿棒で耳の穴をぬぐってみてください。
キャラメルが溶けたような耳垢がつくようなら、比較的強い体臭があります(日本人の約10人に1人が該当)。この場合は、殺菌作用の強い塩化ベンザルコニウムなどの強い殺菌剤の入った、軟膏やスティック式のものを使うとよいでしょう。
綿棒がただ湿るだけなら中〜軽程度。銀系やイソプロピルメチルフェノール系の、ややマイルドな殺菌剤の配合されたスプレー剤を選びましょう。
粉っぽく乾いた耳垢なら、軽度。パラベンや植物性の消臭剤を配合したスプレー、ウェットティッシュ等で汗をふきとるだけで充分です。
商品に含まれている成分は、表示を見ればたいていわかります。薬品と違って気軽に購入できますが、かわいいパッケージの商品に、実は手術時の消毒に使うような非常に強い殺菌剤が含まれているケースもあるので、注意が必要です。
いずれにせよ、自然に出る汗を止めているわけですから、体に少なからず負担がかかります。
時々、わきなどの部分づかい専用の制汗剤を全身に使う人がいますが、絶対にやめましょう。
強い殺菌剤入りの制汗剤を連日使用するのも避けます。
使いすぎは逆効果!
においが気になり出すと、制汗剤(デオドラント剤)を常に使いがちです。ところが使いすぎると、成分が汗腺や皮膚腺に詰まったり、皮膚を守る雑菌を殺して悪質な菌を繁殖させてしまったりなど、体臭の原因になることがあります。
制汗剤に書かれている使用回数をきちんと守ることが大切です。
全身につける人がいますが、これもNG。腋や足など局所だけにしましょう。
また、体につけるタイプではなく、服につけるタイプの制汗剤(デオドラント剤)なら、一日に何度つけても安心です。
使用量・頻度に気をつける塩化アルミニウム
塩化アルミニウムなどの金属塩は汗腺の出口を塞いで汗を抑える「収れん作用」があります。ただ、刺激性が強く、腋などの皮膚の弱い部分にはかぶれやかゆみを生じることがありますが、皮膚の厚い手のひらや足の裏には、比較的安全に使用できるでしょう。しかし、継続的に使用すると効果が減弱することがりますので、3日に1日、もしくは2日に1日のお休みを入れることをおすすめします。
一方、塩化ベンザルコニウムは手術のときに使うような殺菌剤で、汗を抑える作用はありません。常時使用すると体のバリアとなっている常在菌が死滅しますので、この点からも使用回数は十分、留意されてほうがよいでしょう。
自分でつくる制汗剤
汗を抑えるには、制汗剤を使うこともひとつの方法です。ミョウバンや重曹(薬局などで市販)を使った、体に優しい昔ながらの制汗剤を、2つ紹介しましょう。
ミョウバンを使って
◇水道水300ミリリットル(コップ1杯半)に、焼きミョウバン10グラム(生ミョウバンなら15グラム)を入れて溶かし(2〜3日置く)、液が透明になったら原液の出来上がり。冷蔵庫で1〜2週間保存できます。
使うときは、水道水で原液を20〜50倍に薄め、ガーゼに浸してワキの下などをふいたり、直接肌にスプレーしたりします。
消臭効果もあり、原液にレモン1切れ(1/5個程度)を絞って入れたり、水道水の代わりに緑茶を使ったりすると、消臭効果もよりアップします。
重曹で
◇重曹制汗剤はすぐに作れるので、急ぐときは便利。重曹大さじ1杯をコップ1杯の水道水に入れて溶かせば(すぐに溶ける)出来上がり。
スプレー容器に入れて、直接肌に吹きつけます。ワキの汗を抑えたいときは、重曹の粉を軽く塗布しても効果があります。
※肌の弱いかたは、かぶれることがありますので、十分注意してください。
以下の文献より抜粋
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多汗症や汗のニオイに悩む方のためのブログ(五味クリニック)
五味常明・読売新聞大手小町編集部 著
『汗っかきを治す72のワザ+α』(保健同人社)より